2023年度も脱炭素に向けた補助金は最高水準! 補助金の種類を紹介

2023年度も脱炭素に向けた補助金は最高水準! 補助金の種類を紹介

過去最大規模の補助金になります

改正フロン排出抑制法に対応した冷媒を
2023年度の各省庁から取りまとめられた要望額の総額は110兆円となり、2021年度の105兆円、2022年度の111兆円と比べても最高水準の要求額となりました。財務省から公開された環境省・経産省・国交省の概算要求額の内訳は以下の通りです。

  • 環境省  4,345億円
  • 経済産業省 10,825億円
  • 国土交通省 71,249億円

なかでも環境省の概算要求は「2030年ターゲット達成」に集中的に取り組む基本方針に取り組むことが明らかにされています。これは2021年4月に、当時の菅総理大臣が「2030年度までに温室効果ガスを46%削減する」と宣言した背景があります。また、環境省では「温室効果ガス46%削減」以外にも「陸・海の保護区域等30%確保」「脱炭素インフラ輸出に1兆円」など温暖化問題や「サーキュラーエコノミービジネス」と言われる大量生産・大量廃棄の問題の解決に対して積極的に取り組む姿勢を見せています。

代表的な補助金を紹介

代表的な補助金を紹介

2022年度の脱炭素化事業補助金において、代表的なものの名称・対象団体・概要・締め切りをいくつかご紹介します。

名称 工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)
対象団体 民間事業者・団体など
対象設備 設備更新支援
概要 工場・事業場の設備更新、電化・燃料転換、運用改善による脱炭素化に向けた取組みの支援
補助金額 ①CO2削減計画策定支援 (補助率: 3/4、補助上限: 100万円)
※DX型計画は、補助上限200万円
②省CO2型設備更新支援:
A.標準事業 (補助率: 1/3、補助上限: 1億円)
B.大規模電化・燃料転換事業 (補助率: 1/3、補助上限: 5億円)
ⅰ)電化・燃料転換 ⅱ)CO2排出量を4,000t-CO2/年以上削減
ⅲ)CO2排出量を30%以上削減
C.中小企業事業 (補助上限: 0.5億円)
ⅰ)年間CO2削減量×法定耐用年数×7,700円/t-CO2(円)
ⅱ)補助対象経費の1/2(円)
③企業間連携先進モデル支援 (補助率: 1/3、1/2、補助上限: 5億円)
募集期間 CO2 削減計画策定支援:令和5年3月29日(水)~同年5月29日(月)12 時必着
省CO2型設備更新支援 (標準事業、中小企業事業):令和5年3月29日(水)~同年4月28日(金)12 時必着
前年との比較 ・全体の予算額が37億円から100億円に増額
・削減目標・計画の策定支援の補助率が1/2から3/4に増加
 ※CO2排出量をクラウド上でリアルタイムで見える化し運用改善を行うDX型計画は、補助上限200万円
・設備更新補助事業には「C.中小企業事業」が追加され、これまで別の補助事業として扱われていた事業がSHIFT事業に統合されました。
・企業間連携先進モデル支援が新設されました。
名称 コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業
対象団体 民間事業者・団体、地方公共団体等
対象設備 食品製造ラインのフリーザーや中央方式冷凍冷蔵機器、冷凍冷蔵ショーケースなどの脱炭素型自然冷媒機器
概要 コールドチェーンを支える冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、食品小売店舗を営む中小企業等の脱炭素型自然冷媒機器の導入費用に対して補助を行う。
補助金額 間接補助事業:補助率 原則1/3
※再エネ設備等の導入費用は補助対象外
実施期間 令和5年度~令和9年度
名称 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
対象団体 民間事業者・団体など
対象設備 太陽光発電設備、運転制御設備、蓄電池、データセンター、公共施設設備制御など
全体概要 (1)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
(3) 1. 再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業 2. 離島における再エネ主力化に向けた運転制御設備導入構築事業
(4)平時の省CO2と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル 創出事業
(5)データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業
(6)公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業
(1)詳細 概要:ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業。自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入支援を行う。
補助金額:太陽光発電設備・蓄電池:
業務用施設・産業用施設・集合住宅・戸建住宅への自家消費型の太陽光発電設備・蓄電池(車載型蓄電池を含む)の導入支援
※蓄電池(V2H充放電設備含む)導入は必須
※太陽光発電の発電電力を系統に逆潮流しないものに限る(戸建住宅は除く)
補助額:
・太陽光発電設備:定額
・蓄電池:定額(上限:補助対象経費の1/3)
・EV等(外部給電可能なものに限る)をV2H充放電設備とセットで購入する場合に限り、蓄電容量の1/2×4万円/kWh補助(上限あり)
募集期間:令和3年度~令和7年度
(2)詳細 概要:新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業。地域の再エネポテンシャルの活用に向けて、自家消費型・地産地消型の再エネ導入を促進する。
補助金額:
①建物における太陽光発電の新たな設置手法活用事業(補助率1/3)
②地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業(補助率1/2)
③オフサイトからの自営線による再エネ調達促進事業(補助率1/2)
④再エネ熱利用・発電等の価格低減促進事業(補助率3/4、1/3、1/2)
⑤新たな再エネ導入手法の価格低減促進調査検討事業(委託)
⑥熱分野・寒冷地での脱炭素化先行モデル創出事業(計画策定:3/4(上限1,000万円) 設備等導入:2/3)
募集期間:
①④⑤ 令和3年度~令和7年度
②③ 令和4年度~令和7年度
令和5年度~令和7年度
(3-1)詳細 概要:需要側の運転制御設備等導入促進事業。デマンド・サイド・フレキシビリティ創出に向け、オフサイトから運転制御可能な省CO2型需要側設備等の導入支援を行う。
補助金額:
①オフサイトから運転制御可能な需要家側の設備・システム等導入支援事業:1/2
②再エネの出力抑制低減に資するオフサイトから運転制御可能な発電側の設備・システム等導入支援事業:1/3(離島は1/2)
③屋外照明のスマート化・ゼロエミッション化モデル事業:3/4、1/3、1/4
募集期間:
①② 令和2年度~令和6年度
③令和5年度~令和7年度
(3-2)詳細 概要:離島における再エネ主力化に向けた運転制御設備導入構築事業。再エネ設備や需要家側設備を遠隔にて群単位で管理・制御し、離島全体での再エネ自給率の向上を目指す。
補助金額:計画策定の支援:3/4(上限1,000万円)、設備等導入:2/3
再エネ設備、オフサイトから運転制御可能な需要側設備、蓄電システム、蓄熱槽、充放電設備または充電設備、車載型蓄電池、EMS、通信・遠隔制御機器、同期発電設備、自営線、熱導管等の設備等導入支援
募集期間:令和3年度~令和7年度
(4)詳細 概要:省CO2と災害時の電力確保が可能な新手法による建物間電力融通モデル創出事業。直流給電システムやTPOモデルを活用して、平時の省CO2と災害時の避難施設を両立する。
補助金額:
直流給電システムを活用した建物間融通モデル創出事業:
・計画策定:3/4(上限1,000万円)
・設備等導入:1/2
TPOモデルによる建物間融通モデル創出事業:
・計画策定:3/4(上限1,000万円)
・設備等導入:1/2、2/3
募集期間:
直流給電システムを活用した建物間融通モデル創出事業:令和2年度~令和6年度
TPOモデルによる建物間融通モデル創出事業:令和5年度~令和7年度
(5)詳細 概要:データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業。再エネ活用等によるデータセンターのゼロエミッション化とレジリエンス強化を支援する。
補助金額:
①地域再エネの活用によりゼロエミッション化を目指すデータセンター構築支援事業:補助率1/2、1/3(太陽光発電設備、省エネ設備は1/3)
②既存データセンターの再エネ導入等による省CO2改修促進事業:補助率1/2、1/3(太陽光発電設備、省エネ設備は1/3)
③省CO2型データセンターへのサーバー等移設促進事業:補助率1/2、1/3(太陽光発電設備、省エネ設備は1/3)
④地域再エネの効率的活用に資するコンテナ・モジュール型データセンター導入促進事業:補助率1/2、1/3(太陽光発電設備、省エネ設備は1/3)
⑤再エネ活用型データセンターの普及促進方策検討事業:委託事業
対象者:民間事業者・団体等
募集期間:令和3年度~令和7年度
(6)詳細 概要:地域内再エネ活用モデル構築事業。公共施設の設備制御を利用し、再エネ電力を有効活用し、公共施設等の再エネ比率を高めるモデルを構築する。
補助金額:再エネ設備、蓄電池、通信機、エネマネシステム、自営線などの導入を補助。
補助率:2/3(一部上限あり)
募集期間:令和2年度~令和6年度
※令和5年度は継続事業のみ実施し、新規募集はしない。
前年との比較 蓄電池の導入が必須になり、太陽光発電の逆潮流が禁止となった。

補助金の申請手続き方法は複雑!

代表的な補助金を紹介

補助金制度の申請手続きを進める時は、関連する機器の契約書や、電力需給に関する書類などの提出が必要です。必要な書類の提出は補助金の種類や申請先によって異なりますが、一般的に太陽光発電の販売店や施工業者で代行が可能です。太陽光発電関連の補助金制度で主に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 電力需給契約が確認できる書類の写し
  • 検針票など設備状況を示す書類
  • 対象機器の設置工事契約書の写し又は購入契約書の写し
  • 補助金対象機器の費用を示す書類(領収書・内訳明細書など)
  • 対象機器の設置写真(建物全体及び機器の写真)など
  • 機器設置場所の案内図

補助金制度によっては、先に太陽光発電などの設備を設置したあとに申請を行うタイプと設置前に申請可能なタイプがあります。各補助金の予算には限りがあるため、補助金を利用した太陽光発電システムの導入を検討している方は早めの準備がおすすめです。補助金によっては、受付期間内であっても予算に達した時点で終了してしまう場合があります。また太陽光発電の業者と契約できても、電気関連の手続きや資材の輸送で日程が後ろ倒しになってしまうこともあります。最悪の場合、補助金の申請に必要な書類が揃わず期間に間に合わなくなってしまうケースも。導入を検討する場合は、早めに動くことをおすすめします。まずは販売店や施工業者へ補助金制度の申請代行も対応しているか、相談してみるのが大切です。